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泉美木蘭
2015.1.2 15:53

大日本プロレス観戦記!


後楽園で大日本プロレス、観て来たぞよ。


・・・感動したっ!!


オープニング6人のタッグマッチは、
新春らしくとても華やかな大会の幕明けという感じで、
若手たちは、戦い終わるとすぐにジャージに着替えて
設営にまわるという一生懸命さだし、

口に含んだ水を、客席にブーブー吹き散らしながら登場した
“保土ヶ谷が生んだアジア人の恥”バラモン兄弟は、
芸人だったら出落ちで終わりそうな外観で、一瞬、
「うわっ、汚ねえーーー・・・」
と思ったけど、とにかく会場の喜ばせ方がうまい。
客席にダイブして、上の段からごろごろ転がり落ちる。
バケツを掲げて、客に平気で水ぶっかける。
逃げ惑うお客達はみんな笑顔で、羨ましかった。
試合が始まると、凶器で笑わせる。
なぜか「徐行」の道路標識でぶん殴り出すし、
ボーリングの玉で相手選手の股間にストライクするし、
スーツケースでもぶん殴るし。
絶妙にマヌケで笑える間もあって、
東西南北4方向どこにいる人にも見せ場がある。

しまいには、墨汁を口に含んでブーッと噴射。
墨汁には「墨汁コール」があったので、一緒になって叫んだ。


『墨汁! 墨汁! 墨汁!』


有刺鉄線ボードデスマッチは、

レスラーが有刺鉄線の上にぶん投げられて流血するたびに、
会場一丸となって「痛ぇええええ!」と叫んだ。
巨体のレスラーが有刺鉄線で巻き巻きにされたときは
「巻き寿司っぽくて、お正月っぽいじゃん!」と思った。



プチ鹿島さんおすすめの蛍光灯デスマッチは、
すでに生傷だらけのレスラーたちが、
凄まじい勢いで束ねた蛍光灯を振り回し、ぶん殴りあう。
そのたびに、「ボムッ!」と花火のような大きな音が鳴り、
蛍光灯が爆発して、リングサイドにまでガラスが降り注ぐ。



すごぉおおおおーーーい! もっとやれーーーー!!


『半袖・短パン・サンダルでの観戦禁止』と書いてあったけど、
がいるって、傘!
試合終了後は、リング上にもうもうと白煙が立ち込めていた。
あれって水銀ガスなんだよなあ。
試合やる方も、観る方も、こりゃ相当な覚悟がいる。
LEDの普及で、こんな風に使える蛍光灯は減るだろうから、
生で観たければ、今のうちだろう。


プチ鹿島さんとのお話しでは、
「血まみれ♪ 有刺鉄線♪ 蛍光灯デスマッチ♪」
というワードに興奮していただけの私だったけど、
今回のはじめて観戦した試合のなかで、
一番良かったのは、
武器のない、ごくノーマルなプロレスだった。

セミファイナル
石川修司&佐藤耕平 VS 関本大介&岡林裕二
前半に出場した選手たちとはまったく違い、
明らかに確実な肉体づくりをしてきた選手の姿にまず感動。

“ツインタワーズ”の別名を持つ石川&佐藤は190cm超え。
対する関本&岡林もレスラーとしては十分な身長で、
鍛えに鍛え抜いた見るからにガチガチの隆起した筋肉を
持っているにも関わらず、あまりの身長差に、その試合は
まるで『大人と子供』…。

しかし、爆発音にも似た音を立てながら肉体をぶつけ合い、
果敢に戦い続ける関本&岡林、
特に岡林には、“タワー”石川からの執拗な攻撃が続く。
お互いに倒れても倒れても立ち上がる様子に、
心を掴まれて、どちらかが組み伏せられるたびに、
「ワン! ツー! スリ・・・」と一緒になってカウントし、
跳ねのけて返すたびに「うおおおおー!」と絶叫し、
そしてついに試合が決まった瞬間は、
諸手をあげて、足を踏み鳴らし、歓声をあげた。



試合が終わって、全員がぶっ倒れているリングの光景なんて、
眺めていて、もう、気持ちが良くなってしまった。


なんてたのしいんだよ、プロレスって。
試合終了後は、すかさず選手たちがリングの解体や
お土産品の販売に立っている。
一緒に写真を撮ってほしいと思うほどだったが、
リングサイドを歩き、割れた蛍光灯の破片を
ぱりぱりと踏んで帰った。
泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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